妹のひとりごと2

あれから半年後。

見事高校生デビュー!

…ということもなく。

浮いた話もなく、ただぼんやりと日常を過ごしていた。

生徒数の多い学校だったので、埋もれることが心地よかった。

だからこの学校を選んだ。

同級生を見下す癖も、変なことをすることもなくなった。

ある意味「量産型」になったことに安心感を覚えたのかもしれない。

 

そんなある日。

駆け込み乗車してきた奴がいた。

同じ高校の男子生徒。

そりゃ田舎だから、次の電車まで時間があるけど、おとなしく待ってればいいのに。

そう思っていたら、そいつが近づいてきた。

え、知り合い?いや私は知らないけど。誰?

 

「ねえ、○○さんって知ってる?」

 

いや私はあなたを知りませんけど。…あ。

私「兄上か」

兄「誰だと思ってたんだよ」

私「同じ高校だとは知らなかった。ちなみに○○さんも知らん」

兄「あっそ」

 

他人に興味がないのはこのころから。

でも不思議なことに、少しだけ興味がわいた。

 

私「駅、どこ?」

兄「次」

私「え、まじか。私も。一回も見たことないのに。」

兄「時間帯が違うんだろ」

私「部活とかやってんの?」

兄「なんでそうなるんだよ」

私「朝練とかで早いっていう意味」

兄「やってないし、むしろ遅い」

私「あーわかる。ギリギリに来るっぽい感じある。」

兄「なんだよそれ…駅からはチャリ?」

私「そうだよ。駐輪場、どこ?」

 

まさかの一緒だった。

 

私「一回も会ったことないけど」

兄「それな」

 

なんだか不思議な縁だった。